生命保険業界の動向と働き方 ―現代マネジメントⅠ―

2025年7月8日の「現代マネジメントⅠ」では、生命保険業界をテーマに講義を実施しました。登壇者は、本学経営学部市場戦略学科を2017年に卒業された石川夏那氏です。石川氏は在学中、小野瀬ゼミナールに所属。第一生命保険の創業者である矢野恒太に関する研究に取り組み、卒業論文でも第一生命を題材としました。卒業後は同社に入社し、現在は神奈川コンサルティング営業室にて活躍されています。


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登壇される石川氏

講義では、まず第一生命の沿革や企業グループとしての事業戦略、そして多岐にわたる業務内容について紹介がありました。第一生命は、保険事業だけでなく、ヘルスケアサービスなどの非保険分野にも事業を展開しており、現在は日本国内にとどまらず、10か国に13の生命保険会社を持つなど、国際的な事業展開も進めています。

そのうえで、石川氏は社会環境の変化に応じて、生命保険が果たす役割も変化していると指摘しました。少子高齢化や物価高騰といった現代の課題のなか、リスクマネジメントや資産形成が重要なものとなりました。個人レベルでは、金利の低迷や社会保障の負担増といった状況下では、「自助努力」が求められる時代になっています。こうした背景の中で、生命保険が果たす意義が一層高まっていることが語られました。

学生の多くが生命保険に直接関わる機会が少ない中、石川氏は「リスクへの備え」と「貯蓄と保険の違い」について、基礎から丁寧に解説。さらに、人生のライフステージごとに必要となるお金の目安や、その備え方についても紹介し、社会人になる前に知っておくべきお金の考え方を伝えました。

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第一生命は東京ディズニーランドおよび東京ディズニーシーのオフィシャルスポンサーであることから、同社の中谷佐和子氏も参加し、第一生命に関するクイズを交えながら、企業理解を深めるひとときが設けられました。


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質疑応答にこたえる中谷氏

その後の質疑応答では、学生から多くの質問が寄せられました。「御社の強みを教えてください」という質問には、石川氏が「持株会社形態を採用しているため、新たな事業展開や合併などを柔軟に進めることができる点が強みです」と回答。さらに中谷氏は、「会社としての基盤をしっかり整えることが、お客様を守ることにつながる。それは創業者?矢野恒太の時代から続く考え方です」と補足しました。

また、「特に大変だったお仕事は?」という質問に対しては、石川氏が「生命保険業界は各社が多様な商品を展開しており、その中で最適な提案をするのは簡単ではない。だからこそ、お客様の話を丁寧に聞いて、自信を持って提案できるよう努めている。他社の存在があるからこそ、自分の仕事の価値を見出せる」と、実感のこもった言葉で答えられました。

講義後には、「お客様の"いのち"と関わる保険業界の仕事は、責任感が必要であり、非常に意義深いと感じた」、「働き方の多様性や福利厚生、ライフプランへの備えについても詳しく学べて、将来のキャリアを考えるうえで非常に参考になった」といった感想が寄せられました。

貴重なお話をどうもありがとうございました。

(H.K.)